デジタルの世界には「自然発生」しているものは存在しない。なぜならそこに存在しているもの全ては、「消えない様に維持されている」結果、存在しているから。

なんの話だ?
実は、ポケモンGOの話なんだよ。
 
最近になってちょっとした不調を見とがめられ、「自動車に連れ込まれて振動攻撃」を受け、白い服を着た不審人物達に取り押さえられて建物に閉じ込められる、という経験をした。

その間、退屈しのぎにポケモンGOを見ていたのだけれど(病院内部にはポケストップなどは無いので眺めるだけ)、近所のジムの状態がとてもむごたらしいものだった。いわゆる「位置偽装」・「複数アカウント」・「ソーシャルチート」が発生するのを見てしまったのだよ。



事実関係は次の様なものだった。

最初の段階は通常のジム攻略戦
ジムレベルが10に到達するまでは、普通にジムを強くしようとする側とジムを倒そうとする側の争奪戦だった。内部の戦闘状況は外からはわからないのだけれど、「一匹だけ残して他の人達が集まるまで放置。最後の一匹を倒した後、自分たちのジムを一気に7段まで積み上げる」などの戦略は見ていて面白かった。 

次の段階は、「レベル10を邪魔しようとする攻撃側」と「レベル10に向けて名声アップを図る防御側」の攻防戦になった。通常のジム戦が2回ほどあり、カイリューを頂点とするレベル10のジムが完成した。

そして ・・・ 不法侵入が始まった。


なにしろ病院の中ではほぼ何も出来ない。持っていたスマホのアダプターを持ってきてもらってそれを常時稼働させて経過を眺めていたのだけれど、目の前で完成したレベル10のジムは、「攻撃を受けて1000の名声低下が生じ、新しいトレーナーが入ってくる」という状態になった。

もちろん自分が所属するチームは攻撃不能だ。それは自分のチームの名声を高める結果しか作り出さないから、自分が新たにジムタワーに入り込むことはできない。攻撃をするのは、もちろん自分と異なるチームの誰かでなければいけないわけだ。


名声の1000の低下というのは、要するにジムの最下位ポケモン(門番ポケモン)を倒すという事で生じる。当たり前に思えるかもしれないが、実際にジム戦をしている場合、そういう攻撃の仕方は有りえない、という事がわかると思う。

それは単にメンバーを追い出し、自分が入り込むための「偽の攻撃」にすぎないし。実際に眺めているとジムの門番ポケモンが追い出された直後に戦闘が始まり、新しいポケモンが配置されていた。

ジムを相手チームから奪い取り、レベル10に強化したメンバーの時間と努力の横取りというわけだ。


そしてそれが次々に続けられ、最終的にそこには「不正に侵入した竜が積みあがったレベル10のジムタワー」が出現した。そう。私が潰していたあの状態のジム。

私は弱いチームの一員だったので、それがなぜ出来上がるのかというのをこれまで知る事がなかったのだが、実際にはカイリューのタワーというのは、自分のチームのトレーナーを不当に追い出す不正行為によって作り出されていた、という話だったらしい。



私は几帳面なデータ屋なので、戦闘についてのメモを取りながらそれを眺めていた。そして当然ながらその不正行為について全て通報した。

「時刻と不正を行ったと考えられるトレーナーの名」に対して、サポートからは定型文が送られてきた。そして、通報している間にもさらに不正侵入者達どうしによる椅子取り合戦(追い出し合戦)が続くというむごたらしい情景が、私の目の前で繰り返されて ・・・ 本当に惨たらしい状況だった。

窓から見える場所のジムでの戦闘では、人がいない・車も止まっていない・住居や店舗の内部からのアクセスは無理、という状況で不正行為が行われている事もあった。数人の学生(中学?高校?)が連れ立ってやってきた状態で入れ替わりが起きたのも見た。


不正行為は、もちろん「500ほしのすな」と「10ポケコイン」を狙ったものだ。その代償はアカウントの削除になるのだけれど(警告では済まない。なぜならポケモンGOでは不正行為対処によって、全てのメンバーがGPS情報制御での惨たらしい改悪に悩まされているから)、何も罰が下されていない状態は不正行為者達を増長させている。

実際に、一気に複数のジムで同じ不正行為を行って自分のポケモンを置いてゆくトレーナーが複数出てきていた。


通報はできる。でも対処をするのはゲームの主催者であり、私にできる事はない。そして帰ってきたら、私がいなかった間に、子供達の為に私が作ったジムも同じことになっていた。

お正月に、私が置いた1400のピジョンの下に可愛らしい初級ポケモンが2匹おかれたジムは、そこにはもう存在していなかった。それまでのジム戦で見たこともなかった見知らぬトレーナー達の竜がジムを占拠し、私にはもう何もできなかった。

他のチームのジムなら必ず壊してやるのに。


対処する手法はある。不正が通報されたら、ポケモンはジムの序列からはずされ、なおかつジムから出られず、ジム報酬は与えられないという措置を取ればよいだけだ。通報だけでは状況は判定不能だが、万が一その通報が間違っていたら「後から報酬を合算して与える」事は可能だから。

自分のポケモンは戻ってこない & 報酬は与えられない

ジムでの報酬目当ての不正行為の罰としては完璧であろう。不正行為者は新たな不正を働くことが不能になり、報酬もなくなる。もちろん不正が確認されれば最終的な処罰はアカウントの削除になる。「長い時間をかけて不正を行って強化したポケモン」の消滅というわけだ。

それは、コードを作り出した・世界を作り出した人達だけが持つ特権だ。


私は今、目の前のジムが占拠されたままになっているのを、何もできずに眺めている。一緒にジム戦を戦った同じカラーのトレーナー達が現れなくなった状態を(定期的にひっくり返されるのが普通だ)、悲しみながら見ている。潰されることなく、不正行為者達に利益を与え続けているジムは、いつ消滅するのだろうか、と考えながら。


さあ、論文読もう。
私にできる事はもうない。
ポケモンGOは一時引退だ。
ゲームの提供者達によって法が執行され、ジムが壊されるまで。

その日が来るといいな、と思いながら、私はゲームをアンインストールした。
さよなら。ポケモンGO。
また会いたいよ。