「ネットの医療情報は役に立たないと、2011年時点で思っていた」

ええと。
まず、Web上には「医師が参照する為に置かれている」医療情報が有ります。

次に、「専門家が一般の人が読めるように医療情報をまとめた」情報もあります。

自分が正確な情報を探せなかったからといって、ひとくくりに「ネットの医療情報は役に立たない」と言わないでほしいと考えます。


医療情報は命にかかわるものですので、扱いには注意が必要ですが、だからと言って「ネットの医療情報は役に立たない」というわけではありません。

確かにDeNAのWELQの様な、医療知識がない素人に医療情報をまとめさせた「キュレーション」を信頼されては困りますが、「ネットの医療情報は役に立たない」というのは事実誤認です。

きちんとした医療情報はWeb上に既に存在しています。そして基礎部分を理解もしていない素人が「自分の基準」で適当にまとめた大量の医療記事が、そういったきちんとした医療情報にたどり着くのを難しくしているのです。だから実際に大切なのは、どこのサイト・誰が書いた記事を信頼するのか、という部分なのです。


医師の知識量は半端ではありませんし、何より「類似した症状の患者」を多数担当する事による知見の蓄積、というものは素人では絶対に獲得できないものです。我彼の差を理解せずに素人が医療記事に手を出してはいけない、というのはそういう部分から出てきます。
 
/* 私は医療分野では素人ですが、たとえば「タミフルはインフルエンザを治さない」という昔の記事は、医師向けの医療情報を簡略化したもので、かつ複数の医師(大学教授を含む)によって検閲・監修されていました。

あの記事は、実際に文章に毒があったものの、情報は正確で信頼性が高かったのです。検索からもとてもたくさんの人達が読みにきました。まあだからこそ、私の記事は厳重に専門家達によって監査されていたのですが。*/


それから「患者としての自分の体験」は、自分自身という単一の事象についてのもので、それが一般的である保証はどこにもありません。そういう事例もあるのだな、という事を理解して読める人以外にはお勧めしません。



Web上の情報の信頼性については、昔から繰り返し書いていますが、 金目当ての量産記事によってS/N比が非常に悪い状態になってしまった現状で、良質の記事を探す方法は「信頼できるアンテナ(情報発信者)を探す」、につきます。

なおかつ、できたら「その人の専門分野」の話が望ましい。 あとは、話題として記事を探し、その後に情報元を探索するのが正しい使い方だと考えます。そういう意味でこのBlogではプレスリリースや論文のリンクが使われています。

子供の為の科学ニュース記事は、子供達が知識を探し自分のものにするための糸口として書かれていますから、当然なのですが。



最後に、「文章を盗む」のは止めましょう。

ていねいなコンテンツの作成には非常に多くの労力が必要なのです。あらかるとの記事でさえも「英文記事の要約」ではなく「事実の説明」なので、とても手間がかかるのですよ。 自分で書いてみれば理解できますが。

結局この問題は、Google先生(検索サイト)がこの問題をどう裁くかによって、良質の記事がより多くの人の目に留まる様になるかどうかが決まります。SEOで左右できない部分をどうやって拾い、判定するかという難しい部分ですが。