オーストラリアのクイーンズランド大学(UNIVERSITY OF QUEENSLAND)の研究者達が、大麦などに含まれている食物繊維の一つであるβグルカンがどの様なメカニズムで血中コレステロールを低下させているのか、という事を解明しています。


βグルカン

βグルカンについては、以前に米国微生物学会(AMERICAN SOCIETY FOR MICROBIOLOGY)の学会誌に「βグルカンは腸内細菌を健康的にした」、という記事が出ていました。

大麦やオート麦などに含まれているβグルカンは、人間が消化できないとされるタイプの植物繊維で、穀物の細胞壁に存在しています。糖質の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールを吸着して体外に排出したりする効果がある、とされていますが、「健康的」な作用をもたらすメカニズムに関しては詳しい解明が遅れていました。


前回取り上げた話では実際にβ「グルカンを豊富に含む特製パスタ」を毎日100gずつ二か月間食べ続けたら、
  1. 消化管で身体に有益な乳酸桿菌が顕著に増加した
  2. 身体に有益ではないと考えられている腸内細菌が減少した
  3. 腸内細菌の代謝産物の濃度の測定値は、抗炎症活性を持つとされる鎖脂肪酸、2-メチルプロパン、酢酸、酪酸、プロピオン酸などの濃度が上昇した事を示した
  4. 血中のLDIコレステロール値が低下した
という結果が得られていましたが、今回の研究結果はこの4番目に出てきていた「血中のLDIコレステロール値が低下した」という事についての説明になる模様です。



βグルカンと胆汁

クイーンズランド州立大学の研究者達は、今回モデル動物として豚を使用し、βグルカンが血流中のコレステロール量をどのように減少させるかのメカニズムの1つを解明しました。研究では、オート麦のβグルカンは胆汁の総量を実際に減少させることが明らかになったそうです。

「胆汁は脂肪を分解する」という働きをしているため、この胆汁の減少は脂肪が完全に消化されない状態が生じることを意味しています。そして消化管での脂肪の吸収の低下は、血中コレステロールを減少させる重要な因子なのです。

単純化すると「βグルカンが胆汁の量を減少させる 「消化管で胆汁が減少し脂肪の吸収が妨げられる」 血中のコレステロールが減少する」という話になります。


コレステロールレベルに関しては、「善玉コレステロールって言うけれど…」という記事で、善玉コレステロールと呼ばれているHDL(高比重リポ蛋白コレステロール)が高いという事実だけでは心疾患などのリスクは低下しない、という研究結果が出ています。

βグルカンを食事に取り入れる事によって、コレステロールの値が全般的に低下する状態では、「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDL(低密度リポタンパク質コレステロール)の値が低下するという事が報告されていますので、βグルカンの摂取によって明らかに健康に有利な方向の変化が生じているわけです。

研究者達は、ほかの植物性繊維質に関しても研究を続けたい、とコメントしています。



βグルカンがコレステロールコントロールでプラスの影響を与えているという事は以前から知られていましたが、今回豚というモデル動物による研究でメカニズムの一部が理論的に裏付けされた事で、食物繊維を食事に取り入れる利点がよりはっきりすることにもなりました。

丸麦(もち麦)は押し麦よりも食べやすいという事が言われています。毎日麦ごはんという必要はありませんが、「今日は麦の日」「今日は大麦パンの日」「今日はオートミールクッキー」など、麦を食べる習慣を取り入れるというのは健康のために良い事のようです。

私も麦料理を少し頑張ってまとめてみようかと思います。 出来上がったらまたリンク集を出しますので、少々お待ちください。では早速「麦とろ」から、試してみましょうかね。