容量400倍?
Blu-rayの3.5倍速で記録可能な材料

産業技術総合研究所は、ダイキン工業と共同で大幅な多層化と高速な記録が可能な光ディスク向け記録材料を開発した。時間幅8ナノ秒のレーザーパルスを1回照射するだけで記録ピットを形成可能。Blu-rayディスクの記録速度の3.5倍に相当する書き込み速度を実現したという。

庄司智昭 2016年12月02日 EE Times Japan
http://eetimes.jp/ee/articles/1612/02/news039.html
高記録容量光ディスクを目指した高速光記録材料を開発
-長期間の保存記録向け光ディスク材料-

ポイント
    • 多段階多光子吸収とホログラム技術により高速な光記録を実現
    • 多層化に向き、ディスク1枚で10テラバイトになる400層の記録層も可能
    • 長期保存記録に用いることで消費電力や二酸化炭素排出量削減に期待
発表・掲載日:2016/11/30 

長期保存用なのですが現状ではDVD程度の記録密度だそうです。ですが、「Blu-rayディスクのレベルまで記録密度を向上できれば100マイクロメートル厚の記録層で50層1.25テラバイトの記録が可能となる。」、というのが現在の見立てで、今後は「ディスクの厚み方向に多数の記録層形成を目指す」そうです。

最終的な到達目標は「400層、10テラバイト」で。これは現行のBlu-ray 400枚分が1枚になる容量になります。研究者達はこの数値は実現可能だとみているそうです。


記録速度に関しては「8ナノ秒パルスの1回照射で100 Mbpsの書き込み速度を実現」と発表されました。この数字は現行のBlu-rayの3.5倍の高速という事になります。

実際にディスクとして形成する際には、記録材料中にあらかじめ再生用のレーザー光を高効率で反射するようにホログラムを形成する、とされています。また、100マイクロメートル厚の記録層では20層の多層化が可能という記載があります。


この材料は「低消費電力で、維持管理に手間のかからない大容量の長期保存媒体」の実現を目指すもので、業務用データの長期保存が主用途になる模様です。(個人利用としては「消去を考えず、データ移行も考慮しない家族写真」の用途で需要があると思われます。)


なお、現時点の話は「記録材料の開発に成功した」であって、すぐに「ディスク」が販売される様な段階ではありません。ディスクとして形成する為の無機材料の選択、ディスクの耐久性の評価、書き込み・読み出し光源の小型化、ドライブの開発などが行われて、初めて実用化されます。

この材料を使用したディスクでは、データの定期的な「移し替え」が不要だそうです。実用化され、データセンターなどでの利用が進むと現行のハードディスクよりもずっと安全で省エネ、磁気テープよりも扱いが楽な状態が実現されます。上手く開発が進むと良いですね。