家計の手取り収入伸びず
 税、社会保険料の負担増で

家計の手取り収入にあたる「可処分所得」が、安倍政権の経済政策アベノミクスが始まる前の2012年から横ばい水準にとどまっていることが2日、日本総合研究所の試算で分かった。賃金の総額を示す「雇用者報酬」は増えたものの、所得税や社会保険料の負担も増加したため、それらを差し引いた可処分所得は伸びなかった。(後略)

共同通信 2016/7/2 15:39
http://this.kiji.is/121862798349272568?c=39546741839462401

この話は、4月の終わりに記事にしたエンゲル係数が23.9%に達しているの続報になります。

4月時点で、「ところで、4月からは社会保険料が上がっているので、更に消費は落ち込むと予想されます。ここに来年から消費税の上乗せが加わったら完全に詰みますが(消費税増税は「来年はお前の使える金を更に減らしてやるぞ」宣言なので)、それでも増税を強行するのでしょうか ・・・」、と書いたのですが、実態はやはり食料品や日常品の価格が上昇したが、手取り収入が増えないので、消費は上向かない、だったようですね。


改善策は、所得再配分「相続税の税率強化と贈与税の特例の見直し」などの政策によって所得の再分配を行い、また国の借金を減らす事になります。そろそろ日本という国の借金も国際基準で公表してください。

日本の国・地方が抱える借金は国際基準でも100%は超える危険な水準ですが、GDPの2倍というのは実は詐欺です。そういう事が信頼性のある数字と共に広く知られるようになると、政府(税徴収)に対する信頼がゆらぎかねません。

それは「どうせまた大げさに言って、税金をむしり取ろうとしているだけだ」という思考停止を生じさせ、本物の危機を呼び寄せかねないのです。


また、相続税の強化などは「あなたは同じ世代の人達にお金を分け与える義務がある」の話になります。

義務がある、というと少し強い言い方になりますが、実際にはそれは「世代内扶養」の考え方です。「高齢富裕層は同じ時代を生きてきた高齢貧困層を養う義務を持つ」という言い方でしょうか。

同じ時代を生きてきたたくさんの人達の中で、特定の人間だけが生み出された利益を独占してしまう事は出来ません、という話になります。特に生活保護の部分は本来相続税からまかなわれるべきものだと考えます。


正社員とその他という身分制度を破壊して、「より平等な雇用」を実現する事によって、独り占めを防ぐことも大事になってきます。これだけ雇用が不安定になってもまだ「自分は正社員だから、ほかの雇用形態の人間より給与や厚生福利が大きくて当たり前」でいると、自分が振り落とされた時の衝撃は大きくなります。

制度の改革は「自分が強い側にいるときにしかできない」、という事を考えてみる事が必要でしょう。一部の企業では既にいろいろな模索が始まっていますが、大手企業ほどそういった部分は進まないようです。

団塊世代が後期高齢者に到達するまで、もう時間は残っていないのですが。