がんの薬、認知症に効果か
マウス実験で可能性示す

 がんの治療薬にも応用されている抗体をアルツハイマー病に似た症状を発症するマウスに注射すると、脳神経に有害なタンパク質の蓄積や、学習・記憶能力の低下が抑えられたとの実験結果を、イスラエルのワイツマン科学研究所のチームが米医学誌ネイチャーメディシン電子版に18日発表した。

共同通信 2016年1月19日 01時00分
http://this.kiji.is/61847584180092936?c=39546741839462401

ここで出てきている薬は「ニボルマブ(nivolumab)」というもので、商品名がオプジーボになります。ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体医薬品です。腫瘍の治療の為に既に小野薬品工業が承認を受け、製造販売が開始されています。

発表されたものでは「単球由来のマクロファージ」が働いたという事です。脳で神経を死滅させているアミロイドベータを食べている模様。アルツハイマー病のモデルマウスでは認知機能の改善をもたらした、と報告されています。

ただし反復投与が必要な状態だそうです。マクロファージは血流にのって集まってくる免疫細胞の一種なので、仕事を継続させる為の信号を出し続ける事が必要だという話になります。


アルツハイマー病の発症の状況については、不整脈の薬がマウスの認知症治療で効果を発揮した、という記事が参考になりますので、読んでみてください。マクロファージの貪食作用は、アミロイドβが集まって神経細胞を破壊する為のブロックが作られる状態を阻止している事がわかります。



高齢化によって脳の老化による認知症発症患者が増加する事は、より多くの人が介護を必要とする状態になる、という事を意味しています。脳細胞の破壊を止める為の手法の探索は急務です。



論文情報
論文誌:NATURE MEDICINE
PD-1 immune checkpoint blockade reduces pathology and improves memory in mouse models of Alzheimer's disease

http://www.nature.com/nm/journal/vaop/ncurrent/full/nm.4022.html