電子データの安全な保存はとても頭が痛い問題です。

それは「記録媒体」の長期的な保存性能ともに、記録を読み書きする為の装置が長期的に供給される事を必要とします。今回新しく登場したのは「大容量ホログラムメモリー」のプロトタイプです。


東京理科大など、2TB容量のホログラムメモリー開発
3次元空間でシフト多重記録

 東京理科大学基礎工学部の山本学教授は4日、三菱化学や大日本印刷などと共同で、データの長期保存に適した2テラバイト容量の実用水準のホログラムメモリーを開発したと発表した。

DVDの400倍の容量で30年以上の長期信頼性を持つ。膨大な情報を保管する放送局やデータセンターのアーカイブに適する。

日刊工業新聞 2015年11月05日
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0720151105eaad.html
これは初期型の開発品で、5インチのフォトポリマーディスクに2テラバイトが記録できるもので、将来的には100テラバイト容量までの拡張が可能だそうです。


個人が使う場合に、そこまでの大容量が必要かどうかとも思いますが、私が日常的に使用しているデータ容量を考えると、画像を多数所有する放送局やデータセンターだけでなく、個人でもこういったストレージが欲しい人は存在するのかもしれません。

参考情報:Office 365に付随するOneDriveの容量が無制限から1TBに(PC Watch)
1人で一般ユーザーの14,000倍にも上る75TBものストレージを専有していることが明らかとなった。

もちろん、高画質化している映像データや膨大になっているデータセンターでのバックアップ用途にはもってこいの媒体かもしれません。なにしろ「一枚のディスクに収容できるデータ量が増えれば、ディスクが占有する空間は減少する」ので、バックアップ費用がより低減できます。

でも業務用の場合には「30年」という信頼性期間が用途に向いているかどうか、また長期的に読み出し、書き込みを行える機器とディスクが供給されるのかどうか、といった部分がより重要視されます。

長期保存が可能だったMOなどは、もう既に再生環境さえも残されていません。大量のデータ記録が可能だったDATも同じです。

長期的に大量に使用する顧客が確保されない限り、そういった問題は解消されない危険性があります。まあ最近の3Dプリンターの躍進ぶりを見ていると、DIYによって消えてしまった再生環境を再度自作する市場が立ち上がらないとも限らないけれどね、などと思いながら記事を読んでいます。

信頼性期間が100年あると、普通の人間の寿命的には十分なんだけどね。