きっかけになった事例
「低温調理器を使った」

低温調理の話ですが、危険なので理屈を説明するという事にしました。


まず。基本的に、自分自身が調理をして自分が危険な状態になる場合には「愚行権」の行使という事で容認します。

でも。「ちゃんと殺菌しつつ肉を旨く熱する温度は63度」などという説明を安易に信用してはいけません。


業務用ですが、「食中毒予防のための衛生管理」の一部を出しておくことにします。
資料の作成は厚生労働省

 加熱調理食品については、中心部まで十分加熱し、食中毒菌等(ウイルスを含む。以下同じ。)を死滅させること。

 調理の途中で適当な時間を見はからって、最も熱が通りにくい具材を選び、食品の中心温度を校正された温度計で 3 点以上(煮物の場合は1点以上)測定し、全ての点において 75℃(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は 85℃)である事。


何を言っているのかわかりますか? 

細菌でもウイルスでも、タンパク質が加熱によって変性して、食べた人間の体内で活動できない状態になるようにしてくださいね、というのがこの指針の基本です。(ノロウイルスは怖いので、より高い温度になります。)


でも「自宅で食べる」ものに、こういう規則は適用されません。だから、そういう理屈を知っていてもなお低温調理を実行したい場合、調理用の温度計を使って、「自宅で炊飯に使用している電気がま」の保温温度を確認するとよい。

欧米にはそういう用途の専用器具はほぼ無いが、日本の家庭のほぼすべてに存在する炊飯保温ジャーは「加熱」・「保温」の機能を持つ煮物用の専用電気鍋(日本では米専用品として使用する家庭が多い)だから、 本質的に「低温調理」が可能なのです。

今どきの炊飯器の高温保温は75℃程度になるので、放置しておいても、「定温」で調理してくれるのです。安全な事このうえなく、食中毒防止の為の最低限の基準時間の部分である、「肉の中心部を75度にして1分以上その状態を維持する」を実現してくれます。

だから、変なものに手を出さずに、炊飯器をつかえ、と。


私は、炊飯器で鶏ハム、ローストビーフ、袋調理の副菜などを作っています。衛生上も問題はありません。ただし、初期段階で75度のお湯を張った炊飯器に「大量の冷たい素材」を入れないように。機種によっては安全な温度帯に上がらない危険がある。

もう一度繰り返します。食中毒防止の為には「肉の中心部を75度にして1分以上その状態を維持する」、が必要です。肉類で発生する食中毒は死亡の危険もあるので、絶対に「安全な温度に加熱してから食用にする」は守ってください。

一度大丈夫だったからと味をしめると、どんどんエスカレートするのが人間です。生肉は危険なので、お肉はくれぐれも安全な段階まで加熱して食べましょう。

もちろん、不必要な高温・長時間加熱で肉をだめにする必要はありません。鶏のレバーなどは低い温度で煮ると「くさみ」が出ずに食べやすい状態でおいしく煮あがります。程度の問題だという事も理解しておいてくださいね。



ちなみに「にんにくと生姜をたっぷり効かせて食べるクジラの刺身」は美味しいです。自己責任というのはそういう事なわけですが。

/* クジラの刺身を食べるのは実際には「生肉を食べている」事になりますが、これは慣習の部分で愚行とは言わないのです。でも、牛・豚・鶏・羊・馬などの市販品を完全に安全な温度で加熱調理しないで食用にするケースは、明らかに愚行とよんでいいと思う。

それは「危険なので禁止されている」のです。最近法律で禁止された内臓肉のみならず、食肉加工・流通の段階でどのような状態だったか不明なのだからね。

もちろん、専用施設で加工され、厳格な食品検査が実施されているものは現在の法律でも流通が認められていますよ。馬刺しなどが良く知られている事例です。どうしても食べたいなら、安全な商品を入手してくださいね。 */


2015年11月5日追記
食品加熱で「63度30分以上の加熱」という業務用の別の基準についての質問がきていたので、記事を作成しました。合わせて読むと、より解りやすいかと思います。

関連記事:数値の考え方について

2016年9月26日追記
鶏肉の安全な食べ方について厚生労働省から業務指導が出ましたのでメモしました。

関連記事:メモ:加熱殺菌