2014年10月27日

西アフリカで2014年3月から流行しているエボラ出血熱ですが、日本でも「エボラ出血熱の疑いがある」事例が報道されました。 /* 10月28日朝:陰性発表あり*/
 

  • 羽田空港に到着したのは、40代男性
  • 西アフリカのエボラ出血熱流行国に2ヶ月滞在
  • 職業はジャーナリスト(患者との直接接触は無い)

さて「羽田到着時に37度8分の発熱」の場合、念の為に病院に搬送して「隔離治療が開始される」のは、危なそうなケースでは安全側に倒す、という原則からいって正しい措置です。


到着場所が羽田空港ですので、感染症治療の可能な施設の中でも、もっとも訓練が頻繁に行われている場所の一つ、一番手堅い国際医療研究センター病院に搬送されました。



・・・ それ、どこのどんな施設?


名称:独立行政法人 国立国際医療研究センター病院

住所:東京都新宿区戸山1-21-1 

Webアドレス:http://www.ncgm.go.jp/index.html



ここでも既に記事中に登場しています。忘れている人が多いかもしれませんね。ずいぶん前の記事だから。


エボラの悪夢は一人の女性から始まった

リベリアでの感染の初期のある出来事を描写したこの記事を読んで、9月25日にこんな風に発言していた人がいました。

 

独立行政法人 国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター

Disease Control and Prevention Center (DCC)

 

例えば、"西アフリカ帰り、高熱、下痢の症例"がまもなく救急車でくると連絡。

 

さて、どこで診察し、どこで検査する?

昼間は?夜間は?休日は?

 

診断された後の受け入れ体制や箱(病床)はありますが。

その手前、一類対応施設を受診するとも限りません。


プロというのは、先回りしていろいろなケースをシミュレーションしてみる人達でもあります。


この文章を書いた方は、国際感染症センターの、医師か事務方の責任者でしょう。つまり、今起きている状況など、とっくの昔に想定され、何度も訓練が繰り返されている状況に過ぎないのだ、という話です。この文章を書いた人が、今実際に治療に携わっている可能性もあります ・・・ 緊張も高いし、大変ご苦労な事です。


好き勝手な事を言っている、専門的な知識も持たない人間達とは異なる、遥かに高い危機意識と専門性を持ったプロ達が、日本にはたくさんいます。


私は何も心配しません。


追記:10月28日の朝の時点で、エボラ陰性だそうです。

念の為、3日ほどご入院いただく、という事のようですが。感染の初期でウイルス数が少ないため、検出限界以下だったというケースを考慮したと思われます。




そんなことよりも、心配なのは、適当な事を書き散らす人間の文章が、「エボラ出血熱」検索結果でいまだに上位に多数でてきている状況の方です。


嘘は、知識のない人間に容易に受け入れられます。


「絶対にないとは言えない」という言葉が、有りえませんの科学的な「別表現」である事を知らない人達が、「絶対にないと言えないなら、あるのかもしれない」、とSTAP細胞の捏造事件で誤解したように、知識が無いという状態は怖いのです。


エボラ出血熱にはまず「正しい知識」

小学生向きに作ったエボラQ&Aを出しておきます。原著はCDCとWHOで情報は正確です。

参考記事:エボラウイルスの「感染」について


子ども用ですから、通常の知能レベルの大人には説明が細かすぎるけれど、理解力の低い子どもが間違った事を覚えない為には、このレベルが必要ですから。


大人の場合、「子どもが間違った事を言っている」のを正してやる為の資料として使えます。なにしろ、適当な思い込みで話が始まる相手に対抗するには、詳細に説明対象を理解する事が必須ですからね。


もちろん、まだ事実認識が出来ていない大人にも有用です。子どもが理解できる内容がわからない、という大人は滅多にいません。子どもに説明するには、こまかな部分の補足説明が必要ですから、大人が読むには少し説明が鬱陶しいですけれど。


慌てなくて大丈夫です。
 

私達の国では、コレラは流行しません。インフルエンザは流行しますが、エボラウイルスは空気感染しません


それよりも、迅速診断装置の導入と、バイオセーフティーレベル4(BSL-4)施設の稼働を急いでほしいと思います。危険が目の前に来るまで、まだもう少し時間があるはずですから。


参考記事:エボラ迅速診断装置が緊急認可された



まとめリンク:日本のエボラ出血熱疑い患者 まとめ